投資信託は、その種類ごとに運用方針に違いがあります。
大別すると「積極的に稼ぎにいく運用方針(アクティブ運用)」と「消極的で安全堅実をめざす運用方針(パッシブ運用)」の2つがあります。
文字だけ見ると、積極的に稼ぎにいくアクティブ運用のほうが優れているように感じるかもしれませんが、実はそうでもありません。
それぞれの運用方針の違いを知ると、なぜパッシブ運用の投資信託が優れているのかわかります。
運用方針の違い
アクティブ運用
アクティブ運用の投資信託はアクティブファンドと呼ばれています。
アクティブファンドは、ベンチマーク指数(日経平均やTOPIXなど市場平均指数)を超えることを目指しています。
ですので、アクティブファンドに含まれている株や債券などは、ベンチマーク指数に含まれているものと異なります。アクティブファンドの運用者が独自にピックアップしたもので構成されています。
アクティブファンドの運用者が、「この株は上がる!」と予想したものが含まれているわけです。
予想が当たればベンチマークしている市場平均指数のリターンを上回りますが、逆に予想がはずれれば下回ってしまいます。
パッシブ運用
パッシブ運用の投資信託はインデックスファンドと呼ばれています。
インデックスファンドは、ベンチマーク指数と同じような動きをすることを目指しています。
ですので、インデックスファンドに含まれている株や債券などは、ベンチマーク指数に含まれているものとほとんど同じです。
よって、ベンチマークしている市場平均指数が不調なときはインデックスファンドの成績も不調になりますし、逆に好調なときはインデックスファンドの成績も好調になります。
インデックスファンドとアクティブファンドの違い
インデックスファンドとアクティブファンドの大きな違いは、「手数料」です。
アクティブファンドは、アクティブファンドの運用者が独自にピックアップした株式や債券等で構成されています。ですので手間がかかります。
一方、インデックスファンドは、ベンチマーク指数とほぼ同じ株式や債券等を組み入れているだけなので、手間がかかりません。
ですので、インデックスファンドの手数料はアクティブファンドに比べて安くなっています。
もちろん、手数料が高くても市場平均指数を上回るのであれば、アクティブファンドを買う方が良いでしょう。
しかし、実はほとんどのアクティブファンドのリターンは、インデックスファンドのリターンを下回っています。
なぜでしょうか?
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由
アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由は、「手数料」です。
アクティブファンドには、投資のプロ(ファンドマネージャー)が独自に選んだ株や債券などが組み入れられています。私たちは、その銘柄選択能力を信頼し、報酬として手数料を支払います。
ファンドマネージャーに支払う手数料は、アクティブファンドの成績が悪くても良くても必ず支払われます。
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たとえば、日経平均をベンチマーク指数とするアクティブファンドがあったとしましょう。
このアクティブファンドの手数料が3%だった場合、常に日経平均を3%以上うわまわる運用成績を出さなければ、普通に日経平均をベンチマークする手数料の安いインデックスファンドを買っておいたほうがいいということになります。
そもそも、「誰もどの株が上がるのか、もしくは下がるのか当てることはできない」のですから、常にベンチマーク指数を上回り続ける運用成績を出すなんて、不可能といって過言ではないでしょう。
事実として、ほとんどのアクティブファンドの運用成績はインデックスファンドの運用成績を下回っています。
参考:9割が相場に勝てず、米アクティブ運用ファンド S&P調べ:日本経済新聞
結果的に、リスクを取らず安全堅実を目指すインデックスファンドに投資したほうが、積極的に稼ごうとするアクティブファンドに投資するより稼げてしまうわけです。
不思議な現象ですが、これが事実です。
ですので、コツコツと堅実に資産運用していくなら、パッシブ運用のインデックスファンドをおすすめします。
まとめ
- 投資信託にはアクティブファンドとインデックスファンドがある
- ほとんどのアクティブファンドの運用成績は、インデックスファンドの運用成績を下回る
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