投資信託には、投資信託を保有しているだけでもらえる「分配金」というものがあります。
分配金とは、株式投資でいうところの配当のようなものです。しかし、配当と分配金の仕組みは全く違います。
一見、どちらも投資家に還元されるお金なので、配当も分配金も多い方が良いと感じてしまうかもしれませんが、これは大きな間違いです。
分配金をたくさん出す投資信託に投資すると、損する可能性大です。
理由は以下のとおりです。
分配金は投資信託の運用純資産から支払われる
株式の「配当」は、会社が産み出した利益の中から支払われます。ですので、配当を出したからといって直接株価が変化することはありません。
もちろん、間接的に株価が変化することはあります。たとえば、投資家が配当を出す株に好感をもって買い増すのであれば、株価は上がります。
投資家が配当を出すことで会社の利益が減ると考えるのであれば、株価が下がる可能性もあります。
ただ、どちらも配当を出すことと直接的には関係ありません。間接的な変化です。
一方、分配金は投資信託の運用純資産から切り崩されて投資家に支払われますので、投資信託の基準価額に直接影響を与えます。
投資信託の基準価額は「運用純資産 ÷ 総口数」で決まります。ですので、分配金を支払うことで運用純資産が減れば、投資信託の基準価額は下がります。
(※「口数」とは、投資信託を購入する単位のことです。株式投資の場合は「◯◯株」単位ですが、投資信託の場合は「◯◯口数」単位で計算されます)
分配金を出すたびに手数料がかかる
分配金を支払うには、投資信託で運用している株式や債券などを一部現金化する必要があります。
株式や債券などを売って現金化するときには、売買手数料がかかります。
つまり、分配金を支払うたびに売買手数料がかかるわけです。
売買手数料は運用純資産の中から差し引かれますので、当然 投資信託の基準価額は手数料を支払った分さがります。
分配金には税金がかかる
投資で儲けた利益には、約20%の税金がかかります。分配金も投資で儲けた利益ですので、税金がかかります。
たとえ分配金が100万円支払われたとしても、実質80万円しかもらえないということです。
まとめ
- 分配金は運用純資産から切り崩されて支払われる
- 分配金を支払うたびに手数料がかかる
- 分配金には税金がかかる
以上のことから、分配金を出す投資信託は運用利回りが悪く、分配金を出さない投資信託は運用利回りが良いということがわかります。
なんとなく毎月分配金を出す投資信託はお得な感じがしますが、実は運用効率が悪いということです。
効率よく資産形成したいのであれば、年一回、もしくは分配金を出さない投資信託を選ぶようにしましょう。
当然、優良な投資信託であることが前提です。分配金は出さないし、運用成績も悪い投資信託は問題外です。
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