ジェレミー・シーゲル氏の「株式投資の未来」で紹介されている株式ポートフォリを、ETFで実践する方法を考えてみました。
-
-
【書評】「株式投資の未来」から学ぶ投資で大切な7つのこと
インデックス投資家の中で熱烈に支持されている、ジェレミー・シーゲル氏の「株式投資の未来」を読みました。 市場指数(S&P500)に対して、どういった株式がどれくらい高パフォーマンスを上げてきたか、また ...
ETFにすることで個別株式で運用するより格段に手間が少なく、管理しやすいポートフォリオになります。
ETF5つだけでOK。片手でおさまる数です。
もちろん、私の考えとは別のシーゲル流ETF投資法もあるとは思いますが、1つの案として参考にしていただければ幸いです。
ジェレミー・シーゲル氏のおすすめポートフォリオとは?
ジェレミー・シーゲル氏は、自身の著作「株式投資の未来」の中でこうおっしゃっています。
長期的に財産を積み上げたいなら、インデックス運用がいちばんだと思えた。だがいまでは、もっと上を目指せる戦略があると確信している。
このもっと上を目指せる戦略、つまりインデックスファンドに投資するよリターンの良いポートフォリオというのが、「株式投資の未来」の巻末で紹介されている『インデックス投資50%とリターン補完戦略50%』のポートフォリオです。
具体的には、以下のようなポートフォリオになります。
【インデックス投資50%】
- 米国株30%
- 非米国株20%
【リターン補完戦略50%】
- 高配当戦略10〜15%
・配当利回り上位20%
・ダウ10種、S&P10種、ダウ・コア10種、S&Pコア10種
・REIT(不動産投資信託) - グローバル戦略10〜15%
・S&Pグローバル100
・ダウ・ジョーンズ・グローバル・タイタンズ
・多国籍企業への分散投資 - セクター戦略10〜15%
・石油および天然資源
・医薬品
・有名ブランドの生活必需品 - バリュー戦略10〜15%
・低PER
・生き残り上位(成長率が期待を上回る株)
・バークシャー・ハサウェイ
素直にこのポートフォリオに従って投資すればシーゲル流投資が出来るわけですが、実際やろうとするとかなり大変です。
S&P500に名を連ねる企業の中から、配当利回りの良い10企業を選び出せますか?全部英語ですよ?
有名ブランドの生活必需品って、どのブランドかわかります?日本で有名でも、海外ではマイナーな企業ってこともありますし、その逆もあります。
たとえ投資すべき株を全てピックアップできたとしても、それらの株式に投資する手数料が尋常じゃなくかかります。
でも、それぞれの戦略に適したETFを1つ割り当てることができれば…
- 米国株
- 非米国株
- 高配当戦略
- グローバル戦略
- セクター戦
- バリュー戦略
合計6つのETFを買うだけで済みます。(※どうやって5つに絞るかは後述します)
シーゲル氏のポートフォリオをETFで代用
上記の各6項目それぞれに適したETFを紹介します。
結論から言いますと、ほぼバンガード社が販売しているETFでことたります。
バンガード社以外が販売しているETFでもOKですが、やはりバンガードは手数料が安いので基本的にバンガードのETFを中心に構成すれば良いと思います。
私は以下のようにしてみました。
- 米国株⇒VTI
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF - 非米国株⇒VXUS(もしくはVEU)
バンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF - 高配当戦略⇒VYM(もしくはHDV)
バンガード・米国高配当株式ETF
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF - グローバル戦略⇒VXUS(もしくはVEU)
バンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)ETF - セクター戦⇒VHT
バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF - バリュー戦略⇒VTV
バンガード・米国バリューETF
それぞれ、各戦略にのっとったETFであることは、リンク先のETF詳細情報を見てもらえばわかると思います。
(※各ETFの詳しい内容については、次回以降の記事にて紹介する予定です。今回の記事の内容は「シーゲル流投資をETFで実現する方法」ですので、各ETFの内容については割愛させて頂きます)
ご覧の通り、全てバンガードのETFです。
高配当戦略部分に「HDV」というブラックロック社のETFがありますが、こちらもVYMと同じく高配当銘柄に絞ったETFなのでおすすめです。
VYMでもHDVでもどちらでも良いと思います。ただ、個人的にはHDVの方が気に入っています。
シーゲル氏が長期的にリターンが大きいといっている「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」の配分がVYMより多めですので。
さて、もうお気づきかもしれませんが、非米国株部分に割り当てているETFとグローバル戦略部分に割り当てているETFが同じです。
シーゲル氏は、今後 東アジア各国が成長してくるので、その恩恵を得るためにグローバル戦略部分をリターン補完戦略の一部として組み入れています。
要するに、米国・西洋以外の株も持っておきなさいとおっしゃってるわけです。
このグローバル戦略部分については、非米国株に割り当てているETFの割合を増やせばOKかなと考えます。
VXUSやVEUの中には、今後衰退していくであろう日本やイギリスの株も組み入れられています。ですので、純粋にアジアのみに的を絞ったETFではないです。
でも、管理するETFの数が増える手間や購入手数料のコストを考えると、別々のETFにするより1つのETFで代用してしまったほうが良いと思います。
そうすると…
- 米国株⇒VTI
- 非米国株&グローバル戦略⇒VXUSかVEU
- 高配当戦略⇒VYMかHDV
- セクター戦⇒VHT
- バリュー戦略⇒VTV
以上、5つのETFでシーゲル流投資のポートフォリオが完成します。
残る問題は、それぞれの割合です。
シーゲル氏は米国外の株を40%持つべきと言っている
シーゲル氏は「株式投資の未来」のなかで、米国外の株を40%は持つべきといっています。
わたしとしては、株式ポートフォリオの40%を国外企業に振り向ける配分を勧めたい。
※「株式投資の未来」 271ページより
とすると、自ずとVXUS(もしくはVEU)の割合は決まります。ポートフォリオ全体の40%です。
あとの60%を残りの各戦略部分に振り分けることになります。
各戦略部分については、10〜15%で振り分けるように奨められていますので、それぞれの割合は…
- 米国株⇒VTI30%
- 非米国株&グローバル戦略⇒VXUSかVEU40%
- 高配当戦略⇒VYMかHDV10%
- セクター戦⇒VHT10%
- バリュー戦略⇒VTV10%
もしくは…
- 米国株⇒VTI15%
- 非米国株&グローバル戦略⇒VXUSかVEU40%
- 高配当戦略⇒VYMかHDV15%
- セクター戦⇒VHT15%
- バリュー戦略⇒VTV15%
以上、2つが覚えやすくて管理しやすい割合なのではないかなと思います。
VXUS(もしくはVEU)以外のETFについては全て米国内の株をまとめたETFになりますので、上記2つのポートフォリオは、どちらも「米国外の株式40%:米国内の株式60%」になります。
上記2つどちらの割合でもいいと思いますが、シーゲル氏は「株式投資の未来」のなかで、『配当の再投資が、長期的に大きなリターンをもたらす』と強調されています。
ですので、長期投資でより大きなリターンを目指すなら、配当利回りが高い後者のポートフォリオ割合の方が良いのかなと思います。
結論
シーゲル流投資をETFで実践するのにおすすめのETF銘柄、ポートフォリオ割合は以下のようになります。
- 米国株⇒VTI15%
- 非米国株&グローバル戦略⇒VXUSかVEU40%
- 高配当戦略⇒VYMかHDV15%
- セクター戦⇒VHT15%
- バリュー戦略⇒VTV15%
どうでしょうか?
色んな考え方があると思います。あなたの目的に沿って割合を変えていただいて問題ありません。全く違うETFを組み入れていただいても結構です。
シーゲル流投資をETFで実践するための参考として役立てていただければ幸いです。
今回の記事で取り上げた各ETFについては、次回以降の記事で詳しく分析していく予定です。おたのしみに。
ところで…、
「そもそもシーゲルって誰よ?」
「株式投資の未来ってなに?」
という方は、以下の記事にてシーゲル氏の著作「株式投資の未来」の書評を書いておりますので、よろしければ読んでみてください。
きっと投資にチャレンジしたくなるはずです。
-
-
【書評】「株式投資の未来」から学ぶ投資で大切な7つのこと
インデックス投資家の中で熱烈に支持されている、ジェレミー・シーゲル氏の「株式投資の未来」を読みました。 市場指数(S&P500)に対して、どういった株式がどれくらい高パフォーマンスを上げてきたか、また ...