私は投資信託とETFを中心に資産運用していますが、徐々に個別株投資にも挑戦していこうと考えています。
なぜなら、早くお金持ちになりたいからですね。(この辺りは正直に)
皆さんも同じだとは思いますが、「お金のために働く」状態から早く卒業したいわけです。長期投資で30年後に億り人になるのも悪くないですが、個別株投資で素早く稼いで億り人になりたいわけです。
もちろん、個別株投資はインデックス投資よりリスクが高く、儲けてる人より損してる人のほうが多いといわれています。
でも、事実としてウォーレン・バフェット氏のようにコンスタントに個別株投資で稼いでいる人もいます。
そして、ウォーレン・バフェットは…
「会計はビジネスの共通言語だ。会計を学ぶ努力をしない限り、そして財務諸表を読んで理解する努力をしない限り、自分で株の銘柄を選択することなど夢のまた夢である」
とおっしゃっています。
ですので、個別株投資する上で財務諸表、いわゆる決算書(バランスシート・損益計算書・キャッシュフロー計算書のこと)を読む力は必須です。
ということで、決算書を読み解く力をつけるために「決算書を読む技術」という本を買いました。
この本、会計の知識を図解しながら解説してくれているので、非常にわかりやすいです。
本書から学んだ決算書(バランスシート・損益計算書・キャッシュフロー)の読み方をまとめてみましたので、株式投資に挑戦しようと考えている方は参考にしてみてください。
そもそも決算って?
決算とは、会社の1年間の経済活動の業績を決められたルールに従って算出することです。
一年経った現在、会社がどのような財政状態なのか?どんな財産をもっていて、どんな債務をもっているのか?は、「バランスシート(貸借対照表)」に。
一年間でどれだけ稼いだのか?は「損益計算書」に。
そして、現金はどれだけ増えた(もしくは減った)のか?は「キャッシュフロー計算書」に記録されます。
この「バランスシート」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3セットは主要財務3表と呼ばれ、決算日ごとに作成されます。
これがいわゆる『決算書(バランスシート+損益計算書+キャッシュフロー計算書)』です。
毎年決算日ごとに決算書を作ることで、会社の利害関係者に会社の状態を正確に伝えられるわけです。
逆に言うと、決算書を読み解ければ、会社の正確な状態を把握できるので、投資する価値のある会社かどうか判断できるというわけです。
バランスシート(貸借対照表)の読み方
さて、では早速バランスシートの読み方からはじめていきましょう。
とはいっても、隅から隅まで詳細にプロのアナリストレベルで読みこなす方法を解説するわけではありません。
ザックリと会社が健全かどうか把握するための読み方ですので、簡単です。心配いりません。
上図の左側の数字が羅列された表を見てみてください。これがバランスシートです。(上場会社のバランスシート・損益計算書・キャッシュフロー計算書は、EDINETからダウンロードできます)
このバランスシートの資産合計、負債合計、純資産合計の3ヶ所に丸印をつけます。
その後、その金額の比率に従った大きさで、右図のように箱を描きます。
これが、簡易版バランスシートです。
余計な項目を排除し、図で書くことで、元々のバランスシートよりスッキリ頭に入ってきますね。
バランスシートの左側の「資産」部分は、会社がもっている現金や預金、販売用の商品や土地・建物などの財産がいくらあるのかを示しています。
右上側の「負債」部分は、銀行からの借入金や後日仕入先に支払わなければならないお金が記載されています。
右下の「純資産」部分は、資産から負債を差し引いた会社の正味の財産がいくらなのかを示しています。株主から集めたお金や、会社が稼いだ利益はこの部分に記載されています。
つまり、右側の負債と純資産の部分には『どこからお金を集めているのか』、左側の資産の部分には『集めたお金を何に使っているのか』が記載されているわけです。
右側の負債は「返済義務があるお金」なので、将来返さなければなりません。
一方、純資産は「返済義務のないお金」なので、将来返す必要がありません。
つまり…
返済義務のあるお金とないお金の比率で、会社の安全性を測れるわけです。
当然、返済義務のある負債は少ないほうが安全です。
この資産に対する純資産の比率を「自己資本比率(純資産÷資産×100)」といいます。
損益計算書の読み方
損益計算書の読み方も、先ほどのバランスシートの読み方の手順と同じです。
まず、左側の元々の損益計算書の「売上高」と「当期純利益」に丸印をつけます。
金額の比率に従って、右側のようにボックスを描きます。
売上高から各種費用を差し引いた残りが当期純利益です。ですので、売上高ボックスと当期純利益ボックスを描いたら、残ったボックスには「費用」と書き入れ、売上高-当期純利益の差額を書き入れます。
これが簡易版の損益計算書になります。スッキリしましたね。
さて、費用ですが、細かく見ていくと以下の5つの費用があります。
- 売上原価
- 販売管理費
- 営業外損益
- 特別損益
- 法人税等
例えば、売上高から売上原価を差し引くと「売上総利益(粗利益)」になります。
粗利益から販売管理費を差し引くと「営業利益」になります。
営業利益から営業外損益を差し引くと「経常利益」になります。
経常利益から特別損益を差し引くと「税引前当期純利益」になります。
税引前当期純利益から法人税等の費用を差し引くと「当期純利益」になります。
と…、このように文字で解説してもわかりにくいですよね?
でも、上図のように階段状のボックスで分解すればグッとわかりやすくなります。
会社を運営する上で必要な費用を順番に差し引いていくと、最終的に一年間で会社が稼いだ利益が残るわけです。
ちなみに、各利益を売上高で割ると、会社がどういう活動でどれだけの収益力をもっているのかが測れます。
『粗利益÷売上高=粗利率』
粗利率は、扱っている商品やサービスの収益性です。
『営業利益÷売上高=営業利益率』
営業利益率は、販売管理活動も含めた営業活動の収益性です。
『経常利益÷売上高=経常利益率』
経常利益率は、為替や利息の影響など、営業活動以外の活動も含めた反復継続的に行われる活動の収益性です。
『税引前当期純利益÷売上高=税引前当期純利益率』
税引前当期純利益率は、税金を省いた会社の全活動の収益性です。
『当期純利益÷売上高=当期純利益率』
当期純利益率は、売上高からあらゆるコストを差し引いて、最終的に利益がいくら残ったのかという収益性を表します。
これら各収益率で会社の稼ぎ力を判断するのもいいですが、あえて図で描くことで数字で書くより直感的に理解できます。
たとえば…
売上高に対して最終的に残る利益が多いと、上図のように傾斜が緩やかになります。
一方、売上高に対して最終的に残る利益が少ない場合、下図のように傾斜が急になります。
図解すれば、数字を見なくても傾斜の傾き度合いで会社の収益性が判断できるわけです。
これなら数字ぎらいの人でも大丈夫ですね。
キャッシュフロー計算書の読み方
最後にキャッシュフロー計算書の読み方です。
これが主要財務3表の最後の1枚です。頑張っていきましょう。
キャッシュフロー計算書もバランスシートと損益計算書の読み方と同じ手順で進めていきます。
まず、元々のキャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー(以下、営業CF)」「投資活動によるキャッシュフロー(以下、投資CF)」「財務活動によるキャッシュフロー(以下、財務CF)」の金額に丸印をつけます。
その後、それぞれの金額に従って、右図のように営業CF、投資CF、財務CFの順にボックスを描いていきます。
バランスシートと損益計算書の場合と違って、少し難しく感じるかもしれませんが、以下のコツさえ身につければ簡単に描けます。
- 金額がプラスの場合は上向き矢印を、金額がマイナスの場合は下向き矢印を描く
- 投資CFボックスは、営業CFボックスの終点から描きはじめる。財務CFは投資CFボックスの終点から描き始める
- それぞれのボックスの大きさは、金額の比率に従う
どうでしょうか?
ボックスの大きさはだいたいで良いですよ。厳密に書く必要はありません。
営業CF・投資CF・財務CFは、すべてお金の流れを表しています。それぞれの内容は以下のとおりです。
- 営業CF:本業でのお金の増減
- 投資CF:事業拡大のための設備投資や他の会社への投資によるお金の増減
- 財務CF:銀行や株主からのお金の増減
上記それぞれのキャッシュフローのプラスマイナスの組み合わせによって、現在会社がどのような状況にあるのか分かるわけです。
具体的に言うと…
営業CFがプラスの場合、本業で利益を出しているので、本業が順調だと判断できます。逆にマイナスだと、本業が苦戦しているわけです。
投資CFがプラスの場合、保有資産(設備など)を売却することによってお金が増えているので、既存事業から撤退・縮小したと判断できます。逆にマイナスだと、積極的に設備投資などにお金を使っていると判断できます。
財務CFがプラスの場合、銀行からの借り入れ等に寄ってお金を集めたことを意味しています。逆にマイナスの場合、銀行借り入れの返済や株主への配当支払いによってお金が減ったことを意味しています。
たとえば、「営業CF+/投資CF-/財務CF-」の組み合わせであれば、本業で十分にお金を稼ぎ、そのお金で設備投資し、さらに銀行借り入れの返済も行なっている状態なわけですから、この組み合わせの会社は優良企業と判断できます。
反対に、「営業CF-/投資CF+/財務CF+」の組み合わせであれば、本業での損失を、資産売却や資金調達に寄ってカバーしている状態なので、この組み合わせの会社は苦戦している(ジリ貧状態)と判断できます。
要するに、営業CFがたっぷりあり、さらに設備投資にお金を使っても(投資CF)、まだ十分にお金があるのが健全で望ましいわけです。
営業CFと投資CFの差額が「フリーキャッシュフロー」です。
フリーキャッシュフローがプラスであれば、健全な投資をしている会社と判断できます。逆にマイナスであれば、過剰な投資をしている会社と判断できます。
つまり、フリーキャッシュフローで会社の投資が健全な額かどうかがわかるわけです。
まとめ
軽くおさらいしましょう。
- バランスシート:会社の安全性を見抜く
- 損益計算書:会社の稼ぎ力を見抜く
- キャッシュフロー計算書:会社の健全性を見抜く
主要財務3表、それぞれ会社の何を見抜くのか異なるわけですね。
こうして見てみると、それぞれが別々で関連性が無いように感じますが、実は全てつながっています。
キャッシュフロー計算書では、一年間でどれだけ現金が増えたのかがわかります。
損益計算書では、一年間でどれだけ利益が増えたのかがわかります。
キャッシュフロー計算書は一年前と一年後のバランスシートの現金とつながっています。
損益計算書は、一年前と一年後のバランスシートの純資産部分とつながっています。
財務3表すべてを読むことで、一年間で会社がどのような経済活動をして、どれだけ成長しているのかがわかるわけです。
以上、「決算書の簡単な読み方」でした。
さらに詳しく会社を分析したい方は、「決算書を読む技術」を買って読んでみてください。
本記事で学んだことから、さらにもう2〜3歩進んで会社を分析できるようになります。
実際の上場企業の決算書を図解して丁寧に解説されていますので、数字嫌いの初心者の方でもスムーズに理解できるでしょう。
決算書の読み方に関する本はたくさんありますが、その中でも「決算書を読む技術」は特にわかりやすいです。ぜひご一読を。(kindle版もあります)