ブラックロック社の販売している「iシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)」についての各種データをまとめました。
(※「HDV」というのはティッカーシンボルといって、証券取引で使用される略称のようなものです)
HDVは、特にシーゲル流投資をETFで実践する方に人気です。保有銘柄は配当性向の高い会社でしめられており、保有業界もシーゲル氏が長期的勝ち組業界としてあげている「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」の割合が多めになっています。
売買回転率が高いのが気になりますが、3%前後の配当利回りを維持している魅力的なETFです。
目次
HDVの概要
名称/ティッカー | iシェアーズ・コア米国高配当株ETF/HDV |
ベンチマークする指数 | モーニングスター配当フォーカス指数(MDYFT) |
販売会社 | BlackRock |
取引所 | NYSEアーカ取引所 |
設定日 | 2011年3月29日 |
純資産総額 | 約6500億円 |
発行済み口数 | 75,350,000 |
保有銘柄数 | 74銘柄 |
経費率 | 0.08% |
分配金利回り | 3.45% |
配当スケジュール | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
売買回転率 | 49% |
標準偏差(%、3年) | 8.84% |
ベータ値 | 0.90 |
74銘柄は少ないか?
HDVの保有銘柄は74銘柄です。よくHDVと比較されるバンガード米国高配当株式ETF「VYM」の保有銘柄数は428銘柄です。
VYMの方が約5.7倍 保有銘柄数が多いです。
参考【VYM】バンガード米国高配当ETFの分析(経費率・配当利回り・保有銘柄など)
HDVは74銘柄に絞ることによってリターンの最大化を狙っていると考えられます。
「そんなに銘柄数が少なくて大丈夫?」
と思われるかもしれませんが、いろんな株式に30銘柄以上分散投資すると、集中投資のリスクはほぼ取り除かれます。30銘柄でも100銘柄でも、ほとんど変わらなくなります。
ですので、HDVの保有銘柄数はVYMと比較すると少ないものの、十分リスクヘッジできている数だといえます。
経費率0.08%は格安
HDVの手数料は0.08%。格安です。
ちなみに、日本で販売している投資信託「ニッセイ外国株式インデックスファンド」の手数料が0.216%です。この手数料は最安水準なのですが、それでも0.216%です。
HDVの手数料は0.08%ですから、最安水準の投資信託手数料の約1/3の手数料です。非常に安いです。
分配金利回り3.45%。年4回分配
配当利回り(分配金利回り)は3.45%。
年4回(3月・6月・9月・12月)貰えます。
売買回転率49% 頻繁に銘柄入れ替えされる
HDVの売買回転率は非常に高いということは、覚えておいた方がいいです。
参考iShares Core High Dividend ETF (HDV) Top Portfolio Holdings
2017/09/29時点で売買回転率が49%と表示されています。1年間で49%の銘柄が入れ替わるということです。
普通、売買回転率はこんなに高くありません。よく競合ETFとして話題に上がる、バンガード社の米国高配当ETF「VYM」の売買回転率は7%です。(2017/09/29時点)
参考VYMの売買回転率(※Holdings Turnoverの項目)
ですので、いまHDVが保有しているコカ・コーラやファイザーなどの銘柄が入れ替えられる可能性は十分にあります。
よって、HDVが保有している銘柄に惚れてHDVを購入するのは避けたほうが良いと思います。
あくまで、高配当銘柄の淡々と保有するというHDV本来の目的を受け入れられる人が買うべきでしょう。
投資スタイル
HDVの投資する会社は、ほぼ大企業。大型株中心です。
資産構成
セクター別(業界別)
資産構成は上画像の通り。TOP3は、上から順に「生活必需品」「エネルギー」「電気通信」です。
シーゲル氏が「株式投資の未来」の中で長期的勝ち組セクターとしてあげている「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」の割合が多めです。
上から5番目以内に入っています。まさにシーゲル流投資におすすめのETFと言えそうです。
ただ、ヘルスケアの割合はエネルギーや生活必需品ほど多くありあせん。ですので、ヘルスケアの割合を重視するのであれば、ヘルスケアセクターの株式で構成されたETF「VHT」などを合わせて購入するのもいいのではないかなと思います。
国別
HDVの国別保有割合は100%アメリカです。
保有割合の高い会社TOP10
具体的にどういった銘柄が組み入れられているのかは、上画像のとおりです。(※画像クリックで拡大可能)
- エクソンモービル
- AT&T
- ベライゾン
- シェブロン
- ファイザー
- ウェルズ・ファーゴ
- プロクター・アンド・ギャンブル
- ・・・
誰もが一度は聞いたことがある会社名ばかりです。老舗の大手企業で固められています。
これらの銘柄の株価が、今後急上昇するようなことは…なかなか難しいかもしれません。しかし、値動きが安定していて、景気が悪いときでもダメージを受けにくいというメリットがあります。
低リスクで着実に成長していくであろう企業で固められていますので、長期投資に最適かと思います。
HDVの値動き
直近5年
HDVの直近5年の値動きです。(2017/10/09まで)
多少でこぼこしているものの、順調に右肩上がりに推移しています。
HDVとS&P500の比較
HDVとS&P500の比較です。
S&P500が5年で約78%増加しているのに対して、HDVは約42%にとどまっています。単純に価格上昇率で考えると、HDVの成績は良くありません。
ただ、配当再投資効果で考えると、急激に価格が上がるよりも、じわじわ上がっていくほうが良いといえます。
HDVはキャピタルゲインを狙って保有するETFではなく、インカムゲインを重視する人におすすめのETFです。
総評
HDVは、シーゲル氏がリターン補完戦略としてあげている「高配当戦略」「グローバル戦略」「セクター戦略」「バリュー戦略」のうち、「高配当戦略」部分に最適なETFです。
ただ、資産構成をみると、「ヘルスケア」「生活必需品」「エネルギー」の割合が多いので、「セクター戦略」部分のETFとしても機能すると思います。
もし、「高配当戦略」と「セクター戦略」部分に別々のETFを割り当てる手間が面倒なのであれば、HDV1つ保有するだけでもいいかもしれません。